相続放棄が出来ない場合

相続放棄は必ず出来るというわけではありません。マイナス財産がどんなに多くても相続放棄をできないケースがあります。既に相続が発生している中で相続放棄を検討している場合には、特に注意をしましょう。

相続放棄の手続きは家庭裁判所へ申述することで行います。家庭裁判所内において内容を確認し、問題がなければ申述が受理されますが、以下のようなケースに該当する場合には受理されない可能性があります。

 

相続財産に手を付けてしまった

ある行為が『単純承認したとみなされる』ことを法定単純承認といいますが、この法定単純承認があると相続放棄をすることはできません。単純承認とは相続人の地位を引き継ぐことをいいます。つまり、相続人の立場で何かしらの行為をした場合、既に一度は相続人の地位を受け入れているので、“その後に改めて相続人の地位を捨てること(相続放棄)はできない”ということになります。

相続放棄が受理されない主なケースは以下のような場合です。(法定単純承認事由)

  • ​被相続人の預貯金の一部を使い込んだ
  • 遺産分割協議に参加した
  • 被相続人が所有していた株式の議決権を行使した
  • 被相続人の賃貸不動産の賃料振込口座を自分名義の口座に変更した

それぞれ背景事情が異なりますので実際は裁判所の判断によるところとなりますが、これらの行為は相続放棄ができない可能性が十分にあります。

上記以外にも

  • 被相続人の借金を返済した(故人の債務)
  • 被相続人がお金を貸していた相手に取立てに行った(故人の債権)

ことも受理されないケースに該当する可能性があります。ただし、この中でも「保存行為」となる場合には法定単純承認とはなりません。保存行為とは相続財産を守る為に止むを得ず必要な行為のことをいいます。具体的には、返済期限が到来した借金の返済やお金を貸していた相手に返済するよう催促する行為は保存行為となります。

 

どの場合が法定単純承認でありどの行為が保存行為となるのかについて、ご自身では判断が難しいケースも多くあるでしょう。過去の裁判所の判例を元に確認していく等が必要となりますので、「相続放棄をしたいが被相続人の相続に関して何かしらの行為をしてしまった」というご事情があれば、まずは専門家へご相談をされることをお勧めいたします。

 

放棄の手続きをすべき期限が過ぎてしまった

相続放棄の手続きは以下のとおり期限が定められています。

  • 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内

この期間に相続放棄も限定承認もしなかった場合には単純承認をしたものとみなされ、故人の相続人となります。この3か月の期間を「熟慮期間」といいます。

期限3か月の起算は『被相続人の死亡日』ではないことにも注意しましょう。被相続人の最後を相続人自身が看取るかたちであったならば起算は『被相続人の死亡日』となりますが、もし被相続人の死亡の事実を知ったのが死亡日から1か月後であれば『死亡日+1か月』が起算日となります。さらに、第一順位の相続人が相続放棄をしたことで自身が相続人になったとすれば、『自分自身が相続人だと知った日』が起算日となります。

 

また、この期限が過ぎたら相続放棄は不可能なのか、といえばそうではありません。相続放棄する理由としてマイナスの財産があることが多く挙げられますが、このマイナス財産の存在を全く知らず、相続放棄手続きをしなかったことに正当な理由があると認められれば、期間経過後でも受理されるケースがあります。

相続放棄の期限が過ぎている場合でも決して諦めたりせず、なるべく早く専門家へご相談ください。

 

徳島相続遺言相談センターでも相続放棄に関するご相談をお受けしております。何かお困り事がございましたら、ぜひご相談ください。

 

相続放棄を検討しよう 関連項目

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